介護福祉士が知っておきたい口腔ケア

歯の欠損

歯を失うのは、加齢現象でしょうか。
それとも病気なのでしょうか。

 

年齢が高くなれば、歯が無くなっても仕方がないという考え方は、
歯の喪失を加齢現象として捉えている言い方です。

 

歯を失うのは、避けることができない問題だと考えています。

 

ですが、歯を失うのは「病気のため」と考えれば、
予防することができるはずですし、
治すことができると考えるのが普通です。

歯を失うということ

歯を失うと動物は生きていくことができないと歯科医師がよく言います。

 

なぜなら、食べ物を捕らえ、かむことができなくなると、
野生動物に関しては死に直結することになります。

 

ですが、ヒトは、工夫したり、連携したりすることによって、
歯を失っても食べ物を得ることができますし、
栄養を摂り続けることができます。

 

歯の欠損(歯を失う)によって、死に至ることはあまりありません。

 

現状で、80歳の方の平均歯数は5本程度です。

 

成人では28本が正常な歯の数ですから、
80歳までに、平均23本も歯を失っているということになります。

歯の機能

歯の機能には、以下のようなものがあります。

 

(1) 咀嚼(そしゃく)機能

 

咀嚼機能とは、食べ物を噛み切り、すりつぶし、唾液と混ぜて消化を助ける
嚥下の前段階のことです。

 

いうまでもなくこの咀嚼は大切な機能です。

 

(2) 咬合(こうごう)機能

 

咬合機能とは、歯をかみ合わせることです。

 

上下の顎の位置関係を静的・動的に決めています。

 

近年は、嚥下の段階で、下顎(かがく)の位置を固定することの
重要性が再認識されています。

 

(3) 発音機能

 

上下の歯の感覚をコントロールすることにより、
サ行などの発音をしています。

 

(4) 審美機能

 

審美機能とは、見た目のことです。

 

ヒトは社会的な活動が重要な動物であるということができます。

 

見た目の美しさ(審美)は、
時に重要な機能です。

歯を失う理由

歯を失う、つまり歯が欠損する理由とは、どのことがあるのでしょうか。

 

・う蝕(虫歯)が進行することにより、歯の強度が弱まり折れてしまう。
・歯周疾患によって歯が支えられなくなり、歯ごと揺れ、最終的に抜け落ちる。
・感染症で欠損する。
・腫瘍で欠損する。
・事故やスポーツによって打撲し、欠損する。

 

このような理由があります。

 

また、「歯科医が抜いたため」歯を欠損したという人も多いです。

 

なぜ、歯科医は歯を抜くのでしょうか。

歯科医はなぜ歯を抜くのか

歯の問題には難しい面があります。
そして、簡単には言い切れません。
なぜなら、歯や歯周組織は、治癒能力や再生能力に乏しいからです。

 

歯は、機能できる状態で残すことが重要です。

 

しかし、機能できない歯を、いくら多く残すことができたとしても、
噛む事ができなければ歯の機能を成しません。

 

ですが、歯が少なくなれば、残った歯の機能負担は大きくなります。
ですから、一本でも失うというのは避けたいものです。

 

歯科医は、歯を残すことと、歯を抜くことを天秤にかけ、
両方の利点と欠点を十分に考えて治療方針を立てています。

 

そして、治療は、歯科医師側の条件と、
患者案側の条件の両者の関係で決定しますが、
その結果として抜歯と言う治療法が選択されることが少なくありません。

 

治療の結果、歯を失うというのは辛いですが、
現代の医学の限界でもあるため、仕方のない現状です。

 

しかし、歯の欠損は、年齢のため仕方のない加齢現象ではなく、
「病気の結果の障害」と捉える事ができます。

 

加齢現象と切り捨てることはできません。

 

そして、歯科的疾患は、必ずしも歯の喪失をもたらすものでもありません。

 

また、歯の欠損に対しては、「障害」であるとするなら、
リハビリテーションが適用されます。

 

ハチマルニーマル(8020)キャンペーン

 

歯科では、ハチマルニーマル(8020)キャンペーンを実施しています。

 

ハチマルニーマル(8020)キャンペーンとは、
80歳で20本の歯を残そうとする運動です。

 

現状とは遠く離れた難しい目標です。

 

可能であれば、すべての歯を機能する状態で残したいですが、
抜かない治療が必ずしも良い治療ではないということに
注意することが必要です。

後遺症としての欠損

歯を抜くというのは外科的な治療法です。

 

外科的な治療には、術後後遺症が残ることがあります。

 

歯の欠損も、外科的な治療の後遺症として考え手見てください。

 

「オペ3割、リハ7割」といわれるように、
手術後に、患者さんは自分の生活を取り戻すことが必要です。

 

実際には、術後の生活のほうが重要で、
治療の結果、歯を失うことがありますが、
次には、欠損を補う方法を考えることが大切です。

 

自然治癒の期待ができないのであれば、
人工物でサポートしたり、道具によってサポートすることが必要で、
リハビリテーションすることが必要です。

 

歯の喪失は、WHOの分類では「消化器系の疾患」と言うことになります。

 

 

WHOによる障害の分類(抜粋)

 

歯及び歯の支持組織のその他の障害

 

 全身的な原因による歯の脱落。
 事故、抜歯、または局所の歯周疾患による歯の喪失。
 歯及び歯の支持組織の障害。