介護福祉士が知っておきたい口腔ケア

口腔乾燥症

口腔乾燥症とは、明確な診断基準はありませんが、
色々な原因で起こるその症状そのものが名称になっている「症候群」です。

 

簡単にいうと、「唾液が出なくなっている」というものですが、
この唾液が出ないという現象も、
唾液の製造器官である唾液腺の疾患によって唾液が出ない場合と
そうではない場合があります。

 

唾液が出ないということの原因が見つかれば、
その疾患に対して治療を考えていきますが、
原因が特定できないこともあります。

 

原因が特定できない場合は、対症療法として
症状の緩和を考えていくことが第一のケアとなるでしょう。

 

*口腔乾燥症の主な症状

 

・味がわからなくなった。
・唾液が粘るようになった。
・舌が荒れて痛い。
・飲み込みにくくなった。
・義歯がすれて入れていられない。

唾液腺の病気

唾液腺の疾患によって、唾液の分泌が止まったり減少することがあります。

 

唾液腺の疾患で有名なのは、シェーグレン症候群と呼ばれる病気で、
唾液腺の造影検査や組織検査によって確定診断を受ける必要があります。

 

ムスカリン受容体刺激薬によって症状が改善することがあります。

 

また、唾液腺の慢性炎症によっても
口腔乾燥の症状が出ます。

 

頭部顔面への放射線療法を受けている患者さんも、
唾液腺が影響を受けるため、口腔乾燥の症状が見られます。

 

唾液腺が障害を受けると、患者さんは長期間苦しむ場合があります。

 

舌のひび割れが起こり、塩分がしみて食事ができない、
発音がはっきりしなくなるほどの重症例もあります。

 

症状が強い場合は、受診し、対症療法を行っていきましょう。

口腔乾燥を起こす状態

口腔乾燥を起こす状態には、加齢変化、薬の副作用、口呼吸、
義歯の問題などがあります。

 

@ 加齢変化

 

年齢を重ねると唾液も少なくなると昔は考えられ、
枯れていく感覚とも合っていたのですが、
近年は、年齢はあまり関係がないのでは?
という意見が多くなっています。

 

何もかも「老化」のせいにすることはできないということです。

 

A 薬の副作用

 

高齢者における唾液減少の原因として、
日常の服用薬の副作用があります。

 

実際、ある種の服用薬で唾液が減少することがあります。

 

たとえば、精神科領域の薬や中枢に作用する薬等です。

 

この薬の副作用による唾液減少は、
加齢による唾液減少よりも影響が大きいのではないか?
と考えられる症例も多く見られます。

 

B 口呼吸

 

口呼吸も、口腔乾燥の原因として重要です。

 

ヒトの呼吸は、鼻を使った鼻呼吸が通常中心となっています。

 

そして、口呼吸は大量の酸素を必要とするときなどに限り、
行われる呼吸法です。

 

ですが、副鼻腔炎や蓄膿等によって、
通常の口呼吸が難しくなり、
24時間口をあけた状態のこともあります。

 

口こ呼吸をすると、口の中は乾燥します。

 

唾液の分泌量に関係なく乾燥してしまうでしょう。

 

C 義歯の使用

 

義歯、特に口蓋を覆ってしまう上顎の義歯により、
口腔乾燥が起きることがあります。

 

ですが、唾液が多く出る場所は、頬粘膜の大臼歯部と、
舌の付け根の部分ですから、
義歯が直接唾液の出口を塞いでしまうことはありません。

 

義歯の使用による唾液分泌の減少は、
異物感や義歯の材質、厚みの問題も多いようです。

 

義歯の安定が悪く、常に動いている場合などは、
義歯の調整が必要になることがあります。

口腔乾燥症への対応

口腔乾燥症への対応で必要な対症療法で、
第一に検討するのは保湿です。

 

部屋の湿度、口呼吸の有無の確認をし、
口唇や口腔粘膜の保湿を検討します。

 

ワセリン、グリセリン等の軟膏も検討します。

 

粘膜は乾燥に弱いので、
口唇等外側に見える部分だけでなく、
頬粘膜、舌、口蓋などの口腔内の粘膜も保湿対象となります。

 

また、口腔ケアの検討も必要です。

 

口腔ケアによる刺激によって、
唾液量が増えることがよくあります。

 

含嗽が可能な場合は、含嗽を頻回に行ってもらうようにして、
症状の軽減に努めることが大切です。

 

また、全身的な水分補給をすることも重要です。

 

口腔乾燥は、自覚症状が主体の病気です。

 

悩んでいる本人にはとても大きな問題であるのに、
相談を受ける側がその悩みを感じ取ることができないと、
「我慢したら?」とか「気のせいじゃない?」という
対応になってしまいます。

 

症状が重いときには、
専門家のアドバイスを受けましょう。